初々174
今から一年程前。とある田舎町に彼女は住んでいた。学生の彼女は学校に行く為、近所の駅へと向かっていた。駅の周辺もそこまで発展しているわけではなく、毎朝決まったコンビニで朝ごはんを買っていた。コンビニでバイト経験があった彼女は、商品を買うときにバーコードを上に向けて差し出す癖がついていた。するとある朝、いつものようにパンと飲み物を買うと顔も知らぬ店員から、「いつもありがとうございます」と声をかけられたのだった。一瞬、お決まりの店員の挨拶のようにも聞こえたが、何か違和感を感じた。そして少し考え、いつもバーコード面を上に向けている事に対してのお礼だということに気づいたのだった。少しの沈黙の後、お礼を言ってくれた彼が「しまった!」という表情をしたので、彼女は焦ってコンビニでのバイト経験がある事を話し、「頑張ってください」と言ってその日はコンビニを後にした。それ以降、その男の子がいる朝は数分立ち話をするようになった。それから二ヶ月。この日の彼は、何故だか悲しそうな顔をしている。話を聞いてみると、卒業に合わせてバイトを辞めると言う。そんな彼を彼女は飲みに行こうと誘った。すると彼も嬉しそうに「ありがとう」と答えた。その日の夜
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2010/12/07