即金129
少し古い建物。窓から差し込む暖かい日差し。店内に充満しているコーヒーの香りが心地よい。彼女は喫茶店に居た。家からも近いこのお店。暇な時はよくここに来て時間を潰していた。大学生だろうか。彼女の正面の席では若い男の子が小説を読んでいる。癖のない黒い髪の毛。すらっとまっすぐ伸びた鼻筋。キリっとした目。何度か見たことがある顔だ。さっきまでは他にも数名の客が居たはずだが、いつの間にか二人きりになっていた。「少し気まずいな。」そう思い下を向いてコーヒーをすすっていると、「こんにちは」と彼が話しかけてきた。いつの間にか彼女と同じテーブルに着いている。「もしよければ少しおしゃべりしませんか?」屈託の無い笑顔で話しかけられた。「ちょうど暇してた所だし、まぁいいかな」と彼女も乗り気だ。名前は文則と言うらしい。一通り自己紹介をした後、居酒屋へと移動する事となった。お酒をのみながら時々訪れる沈黙の瞬間に、「なんで私に声をかけてきたんだろう」ふとそんな思いがよぎる。彼女は話題作りの意味も含め、彼に聞いてみた。そうすると、彼が少しバツが悪そうに話しはじめた。それによると、彼は二人が出会った喫茶店に初めて来た時、彼女を見かけたそうだ。そこ
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2010/11/09