初々160
赤く染まる空。次第に早くなっていく日没。会社の窓からも黄色く染まった街路樹がよく見える。「もう少しで今年も終わりか。」そんな事を思いながら、これから行う撮影の為の準備をする。そこへ、同僚がやってきた。「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ。問題ない。」私は同僚の問いかけに、少し笑いながらそう答え会社を後にした。彼がそう思うのも無理は無い。ローションに、ピンクローター、荒縄、蝋燭、撮影に出かける度私はいつも様々な道具を用意する。それは、現場で沸き起こる様々な閃きや要望にも柔軟に対応するためだ。と言いたいところだが、実際のところ、それはただの言い訳でしかなかった。私は自分のテクニックにいまいち自信を持てなかった。初めての撮影時など、ペニスが立たなくてどうしようかと慌てふためいたものだ。結局その日は立つ事は無く、私の役目を同僚が買って出てくれたのだった。今では立たないなんて事は無いがその出来事以来、私は今ひとつ自分に自信が持てない。だからこそ、常に様々な道具を持ち歩いているのだった。それらが無いと不安で仕方が無かった。しかしいつまでもこんな状態では良い作品は作れない。そう思い、私は焦っていた。そしてそんな自分から脱却
2603回
2010/11/23